【インタビュー】三重県発、韓国経由、能登半島行き。

 名 前:中野 涼介
 現所属:株式会社ホテル海望 営業企画
 出 身:三重県度会町
 大 学:慶煕大学校一般大学院観光学科修士課程


ー 大学では韓国語を勉強し、その後は韓国の大学院を修了されていますが、それ程までに韓国に興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?

「高校三年生になる直前の春休みに気分転換として勉強し始めたハングルがきっかけでしたね。その頃は受験勉強ばかりしてて、日々の生活に飽き飽きしていたので。笑」 ※ハングル・・・韓国語の表記に用いられる文字

 

ーなぜ”ハングル”を選んだのですか?

「昔から記号というものに惹かれることが多かったんです。ハングルって記号みたいじゃないですか。だから、自然と惹かれましたね。記号が文字として認識できた瞬間がすごく快感なんです。正直受験勉強そっちのけで、ハングルばっかり勉強していました。それから段々と韓国の文化に興味を持ったという感じでしたね。」

 

計画的だったわけではなく、ハングルという”記号のようなもの”から偶然にも始まった韓国との繋がり。その後は、現地の大学院へ進むほど広がっていくこととなります。

 

ー観光学を専攻した理由を教えてください。

「大学生の頃から、将来は観光に携わる仕事をしたいと考えていました。大学一年と二年の夏休みに行った語学研修や大学三年生の時の交換留学、大学院での時間を含めると三年以上は韓国に住んでいます。そのため、韓国のありのままの姿をこの目で見てきました。ですが日本では、ニュースで流れたほんの一部をあたかも全体がそうであるかのように捉える人が多い。日本人が持つ韓国への悪い印象と、僕が実際に目で見た韓国の姿には大きなギャップがあることをいつも感じていました。暮らし、人、食べ物、、、ありのままの韓国を知っている人間としてそのギャップを無くしたいと思い、観光業という職を選択しました。」

 

ー観光を通してイメージを払拭したいと?

「そうです。僕が知っている限りでは、韓国に対してあらぬ悪い印象を抱いている人のほとんどは、韓国に行ったことがない人ばかりでした。自分自身の目で見て、実際の韓国を知ってもらうことが、そのイメージを拭うきっかけになればと願っています。でも、韓国の知識は十分にありましたが、観光についての知識はほとんどなく、このまま職に就いても満足のいく仕事は出来ないと感じました。だから、大学院で観光学を学ぶことを決めました。あと、交換留学していた大学が偶然にも観光学に一番秀でた大学だったので、知った大学ということもあり馴染みやすかったですね。」

 

ニュースなど、何かのフィルターを通じて得た印象と実際に現地を見たときの印象は大きく変わってくるもの。国際問題や歴史が絡んで一筋縄ではいかない韓国との関係ですが、中野さんが見て感じた「韓国」もまた、大きく違っていたようです。

さて、ひたすらに韓国について話をしていますが、ここから彼は石川県能登半島へ来ることとなります。その背景を聞いてみましょう。

 

ー大学院を修了した後、石川県七尾市で働くことになったわけですが、そのまま韓国で就職しようとは思わなかったですか?

「もちろん思いました。就職するときに最初に悩んだことは、このまま韓国で就職するのか、それとも日本に戻るのか。韓国での就職はとても魅力的でした。大好きな友人たちのいる国で働けるわけですから。それでも日本を選んだのは、社会人としての基盤を作るためでした。社会人に必要なものを学び、基礎力を付けるには母国の方が良いと、直感的に思いました。」

 

ーホテル海望を選んだのは?

「就職活動の際、『インバウンド』・『観光』・『マーケティング』の三つを会社選びのキーワードとしてました。それを基準に探してたらホテル海望の求人を見つけたんです。ホテル海望の求人広告には『ゼロから始めるインバウンド』と書いてあったので、自分のやりたいことと、まさに一致してそうだと思って応募しました。ゼロからということは基盤がないということ。だから、自分の実力が如実に表れる気がして、実力を試す意味でもこれだ!って思いました。」

 

ー応募した後、二週間のインターンをしたとのことですが、ホテルの業務はいかがでしたか?

「全ての業務をやらせていただいたんですけど、大変でしたね。でも、就職を決める上で、この二週間のインターンはとても有意義のあるものでした。ここなら自分のやりたいことが出来ると確信を持てたし、素晴らしい上司にも巡り合えたので。」

 

ー七尾は田舎と言われていますが、働く場所として何か思うことはありましたか?

「いや、全くなかったですね。場所とか条件は後から付いてきたものというか、何よりもやりたい想いが常に先にありました。七尾という地名も初めて知ったぐらいです。笑」

 

韓国が大好きではあるけども、そこに盲目にならず冷静に自身が歩みたい道筋を考えていらっしゃいました。そんな彼なら観光という手段を使って、韓国と日本を繋ぐ架け橋になれるかもしれません。

 

ー今の具体的な業務を教えてください。

「OTA(Online Travel Agent)の管理や館内イベントの企画とかですね。ホテル海望ではインバウンドに向けてOTAの戦略的展開を図ってまして、その管理をしています。あとは、部屋割りを作成したり、実際にフロントの業務をこなしています。フロントの仕事は大変ですが、現場でお客様の声を直接聞けることは貴重な機会で、ありがたいことだと思っています。」

 

ー最後に、日本で社会人として一人前になった後の展望はありますか?

「将来はやっぱり韓国で働きたいという想いが強いですね。ここで培った経験を活かして、向こうで観光業に携わりたいです。人の意識を変えることはとても難しいことですが、少しでも多くの人に韓国の良さを伝えていきたいと思います。その点、従業員の意識改革に現在チャレンジしているホテル海望に入社できたのは、なかなか幸運かもしれないですね。」

 

負けず嫌いの性格は筋金入りの中野さん。

大学の進路で揉めていた担任の先生を説得するために、高校三年生の夏休みは毎日先生に会いに行っていたほど。128年続くホテル海望は、歴史もある分、新しいことを始めるのが難しい環境とも言えます。その中でどうインバウンド事業を浸透させていくのか、負けず嫌いの本領を発揮するのにぴったりの場所かもしれません。

 

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