輪島塗産業を支えながら、木材加工の新たな道を歩む木地屋
生産量、技術、センスと三拍子揃った木地屋で、
手仕事の良さと効率性(テクノロジー)のバランスを取りながら
ものづくりに携わりたい人を募集!未経験者でも歓迎です。
四十沢木材工芸の取り組み
伝統産業に従事する人が減っている…というニュースは色々な場所で耳にすることかと思います。
能登半島を代表する伝統産業である「輪島塗」も共通の課題を抱えていますが、四十沢木材工芸は、伝統を支えながらもその中身を大きく変えてきました。
四十沢木材工芸は、輪島塗のベースとなる「木地屋」。
日本有数の漆器産地である輪島では、漆器用素地専用の木工所のことを木地屋と呼びます。全国におよそ120名しかいないという、珍しい苗字の四十沢(あいざわ)さん夫婦(宏治さん、葉子さん)が営んでいます。
木地は大きく、椀、曲物、指物、朴の4種類に分かれていますが、総合的に取り扱い量産できる木地屋は、輪島塗の産地でさえ、今やたった2件しかないそうです。
四十沢木材工芸はそのひとつですので、「売上のほとんどは輪島塗の木地を作っていているんやろなぁ」と勝手に思っていました。しかし、お話を伺ったところ、売上のうちに輪島塗関連が占めるのはたったの”3割”という想定外のお答えが返ってきました。これには驚きました。木地屋が、輪島塗産業の最初の工程であることは事実ですので、ということはつまり、輪島塗そのものの需要がそれだけ減ってきていることを示しています。
産業に依存しない、自立した木地屋へ
「輪島の地で漆器産業を支える責任はあるが、そこに留まっていてはダメ。」と四十沢さんは言います。
他の漆器産地へ木地をカタログ販売することから始まり、近年ではライフスタイルショップやネットショップへ木製雑貨を卸す問屋への量産仕事を受け始めました。価格が決まっており利益が出るかわからない仕事、導入時は不安は大きく経営も大変でしたが、必死に業務改善を進めることで重要な売上に変わってきました。また、木工技術を活かし他業種にOEM供給も始めました。
全国的に、木地屋/木工加工技術を持った事業者は減ってきており、安定した生産量、幅広い製品技術、センスの3つがバランスよく揃っているところは少ないとのこと。これらを兼ね備えていることが四十沢木材工芸の強みとなっており、全国から声がかかっていることに繋がります。
動画に出てくる機械は、NCルーターと呼びます。プログラムによる制御で動く機械であり、四十沢木材工芸では現在、その4代目が稼働しています。
初めて導入されたのは1979年のこと。最初のオペレーターは宏治さんでした。手作りへの信奉が根強い漆器業界では前代未聞の投資だったそうですが、その投資が功を奏して、機械で大まかな形作り→手作りで仕上げるという工程を実現できています。
「今では、疲れ知らずで黙々と働く強い味方です。」と四十沢さんは冗談っぽくおっしゃいますが、本当に古くから投資してきたNCルーターのおかげで手作りと量産の間を攻めた体制が取れているのです。今では、全国から発注が来ているため、納期に間に合わせるためには、NCルーターも職人もフル稼働という状態。宏治さん以外のオペレーターも2名に増えました。
木地屋を未来へ残していくために
四十沢木材工芸では今年、公式HPを本格リニューアルしました。
また、質の高い木地を活かしたオリジナル製品の発信も始めました。
これらは全て、木工の可能性を広げたいという決意がベースにあります。その想いは着実に、一つずつ形となっているものの、「職人不足」という壁はなかなか越えられていません。
オリジナル商品のラインナップを増やそう!今までやってこなかった営業を仕掛けよう!そう思っても、もう一人職人が居れば… という現実が常に立ち塞がるそうです。
どんな人がほしいか?と単刀直入に尋ねました。
「コツコツと効率よく、バランスよくできる人がいい。職人希望でなくとも、ものづくりに関心のある人ならOK」と宏治さんは考えています。それを聞いた葉子さんから、素敵な言葉を頂きました。
「木地産業は自分が携わったものが形になるという楽しさがある。木で形を作っていく仕事。木の匂い、色合い、肌触りの良さを感じられるから。鉄工所の嫁じゃなくて、木地の嫁でよかったと思うときがあるわ(笑)」
最後に今後の展望をお聞きしました。
整理すると、この3つのフェーズを考えていらっしゃいます。
①職人を採用し生産体制の安定化
②3Dプリンタの導入や、オリジナル商品の海外展開
③事業承継
ここで今から働き始める人たちは、伝統産業と新しい技術(例:3Dプリンタ)の融合の場に出会えるかもしれません。
え?「奥能登の小さな事業者にそんなことができるの?」という疑問をお持ちですか?
四十沢木材工芸は、40年も前に家一軒分の投資をして(当時の)最新テクノロジーを導入するというDNAを持った「木地屋」なんです。
募集情報
会社名 | 四十沢木材工芸 |
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公式WEBサイト | |
募集職種 | 技術職/管理職見習い |
雇用形態 | 正社員 |
給与・その他手当等 | ・時給月給制(経験、能力を考慮のうえで決定) ・皆勤手当 |
福利厚生・待遇 | 各種社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)、退職金共済(勤務3年後から)、交通費支給 |
勤務地 | 928-0062 石川県輪島市堀町3-8-1 |
勤務時間 | 8:00-17:00(12-13時は昼休み、10時と15時に10分の休憩) |
休日等 | 日曜、祝日、月に2-4回の土曜 |
休暇 | 年末年始休暇、夏季休暇 |
応募資格、必須スキル | ・木工経験があり3DCADやレンダリングなどの操作が出来るとなお良い ・20~30歳 経験不問だが手早く手先の器用な人が望ましい ・要 普通自動車運転免許 ・喫煙しない方 |
担当者の一言 | コツコツと効率よく、バランスよくできる人がいい。職人希望でなくとも、ものづくりに関心のある人ならOKです。未経験者も歓迎します。 |